家賃(テナント料)を値上げしたいが借主が拒否した場合どうなる?|福岡の弁護士が解説

「今の賃料が相場より安いので家賃を値上げしたいと伝えたが、借主から拒否された。あきらめるしかないですか?」
福岡の不動産オーナー・管理会社の方から、こうした相談が数多く寄せられています。
結論から言うと、
借主が拒否しても、家賃の値上げをあきらめる必要はありません。
法律上、オーナー側から「賃料増額請求」(値上げ請求)を行うことが可能です。
本コラムでは、民事調停官の経験を有する福岡の弁護士の視点から、
- 借主が値上げを拒否した場合どうなるのか
- オーナーは何ができるのか
- 実務上の正しい進め方
を解説します。
1.借主が値上げを拒否すると家賃はどうなる?
オーナーが「家賃を値上げします」と借主に伝えただけで、家賃が自動的に値上げされるわけではありません。
借主が拒否した場合、まずは、
👉 従前の家賃のまま据え置かれる状態
となります。
ただし、これは「値上げが不可能」という意味ではありません。
法的な手続を利用して値上げを求める余地が残っています。
2.オーナーには賃料増額請求(値上げ請求)の権利がある
借地借家法では、次のような事情があれば、オーナーは家賃の値上げ(=賃料増額請求)を行うことができます。
- 周辺相場と比べて著しく安い
- 固定資産税・都市計画税が上昇した
- 物価や人件費が上昇している
- 近隣物件で賃料改定が行われている
重要なのは、
借主の同意がなくても、オーナーから一方的に値上げ請求できるという点です。
3.値上げ請求をするとどうなる?
正式に賃料増額請求をする場合は、内容証明郵便で請求することになりますが、これに対して借主の対応は、次のいずれかになります。
① 借主が賃料増額に応じると言ってきた
→ 新しい家賃で合意する。
② 借主が増額には応じるが金額は納得できないと言ってきた
→ 金額交渉をして合意を目指す。
③ 借主が全面拒否又は無視してきた
→ 民事調停へ
*賃料増額請求については、訴訟(裁判)をする前に一度調停を経なければいけないというルールがあります。
4.調停の実際の流れ
1.調停申立て
2.第1回期日(双方の主張確認)
3.資料提出(相場資料・鑑定書など)
4.数回の期日を経て和解協議
期間の目安は3か月〜6か月程度です。
調停では、
- 不動産鑑定
- 周辺相場資料
- 契約内容
を基に、妥当な家賃はいくらかが検討されます。
5.値上げはいつから有効?
増額が認められた場合、
原則として「正式に値上げ請求をした時点」まで遡って有効になります。
例えば、
- 1月に値上げ請求
- 6月に和解成立
となった場合、
1月分まで遡って精算される可能性があります。
ここからわかりますとおり、早く動くほど有利になるわけです。
6.簡単な解決事例
築25年の店舗ビル
家賃:16万円 → 周辺相場:20万円
内容証明で2025年1月に値上げ請求
→ 借主は当初拒否して毎月16万円を支払い続ける
→ 2025年3月に調停申立て
→ 2025年6月に20万円で調停成立
この場合、毎月4万円の増収となるだけでなく、2025年1月に遡って18万円になるので、1月から6月までの支払われていなかった各4万円も払ってもらえることになります。
7.福岡の弁護士が見る「よくある失敗」
- 口頭だけで値上げを伝える
- 根拠資料がない
- 感情的な交渉になる
- 管理会社任せで放置
これらは、調停や訴訟で不利になります。
8.実務上の正しい進め方
1.周辺相場を調査
2.値上げの根拠整理
3.書面(内容証明等)で値上げ請求
4.交渉
5.調停申立て
できるだけ早い段階から弁護士が関与すると、
不要な紛争を防ぎつつ、適正な値上げを目指せます。
9.弁護士に相談すべきタイミング
- 借主が話し合いに応じないとき
- 商業テナントの値上げをしたいと考えたとき
- 将来的には訴訟になってもいいと思ったとき
- 不動産鑑定で相場より安いことを知ったとき
このような場合は、早めに福岡の弁護士へ相談することをおすすめします。
なお、賃料増額請求については、小倉、久留米、佐賀、長崎、山口、熊本など他県の案件についても対応可能です。
10.まとめ
- 借主が拒否しても値上げは可能
- オーナーには賃料増額請求権がある
- 早めの対応が有利
福岡で家賃の値上げをご検討中のオーナー・管理会社の方は、弁護士による初回相談をぜひお気軽にご活用ください。


