父親が10年以上行方不明になっている場合に、父親名義の財産をどうすればいいかお悩みの方へ
【質問】
父親が行方不明になって10年経ちます。どこでなにをしているかわからないですし、そもそも生きているのかもわかりません。ある日突然行方不明になり、その理由もわからないです。生きていれ80歳になっています。父親が住んでいた不動産がありますが、今は誰も住んでおらず荒れています。名義は父親のままですが、今後どうすればいいのでしょうか。相続人としては私だけなのですが、私はこの不動産を相続できるのでしょうか。
【回答】
お父様が亡くなっていれば、あなたはこの不動産を相続して名義をあなたに移転することができます。そうすれば、その不動産にあなたが住もうが、誰かに売却しようが自由です。既に建物が荒廃しているのであれば、危険を除去するためにも、建物を早めに解体して更地にしておいた方が良いでしょう。
ただ、現時点ではお父様の名義ですし、お父様が亡くなっているかどうかはわからないです。80歳であれば亡くなっている可能性もありますが、死亡したことがわからない以上相続は始まらない、というのが原則です。しかしそうだとするといつまで経っても相続が始まらないし、名義変更もできない状態が続くという困った状態になりますね。
そこで、この問題を解決する方法として、「失踪宣告」という制度があります。
不在者が一定期間生死不明となっている場合に、裁判所に不在者の失踪を宣告してもらうものです。失踪宣告がされると、その不在者は死亡したものとみなされます(民法31条)。
不在者の生死が7年間あきらかでない場合は失踪宣告が認められますので、10年間行方不明となっているあなたのお父様については、失踪宣告がなされる可能性が高いと思います。したがって、あなたは、家庭裁判所に失踪宣告の申立をしてみるのが良いと思われます。