相続税を支払わなければいけないが、一括での納付ができそうにない方へ
コラム

相続税を支払わなければいけないが、一括での納付ができそうにない方へ

【質問】

母が亡くなり、私が唯一の相続人です。相続税について、税理士さんに計算してもらったところ、母の唯一の財産である不動産がそれなりに価値があったようで、相続税を100万円ほど支払わないといけないとのことです。しかし、私は収入は少なく、預貯金もありません。かといって母が残した不動産も売却したくありません。分割で支払ったりすることはできないのでしょうか。

【回答】

相続税は必ず払わなければなりません。そしてその納付は原則として、「現金での一括納付」です。ですので、あなたは100万円の現金を準備しなければなりません。しかも、納付期限は相続が開始されたことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この納付期限を過ぎて相続税申告書を提出すると、無申告加算税というペナルティが待っています。また、延滞税という税も課されます。ですので、納付期限までに100万円を準備せざるをえない、というのが原則です。

しかし、それでも現実に現金や預貯金が用意できない場合というのはありますよね。そういう場合はどうすればいいのでしょうか。

そういう場合は、「延納」や「物納」という方法が考えられます。

「延納」というのは、例えば、不動産を担保にすることによって年賦で納付するということです。もちろん税務署に相談する必要がありますし、利子税という税金は最低限収める必要はあります。それでは納付をいつまで延期してもらえるかですが、これは相続財産の不動産の占める割合などによって決まります。あなたのケースでは、相続財産のうち不動産が占める割合は100%のようですので、延納期限は20年以内となりそうです。

なお、延納による納付もできない場合には、相続財産を現物のまま相続税の支払いに当てることとなります。これが「物納」という方法です。ただし、物納はいろいろと厳しい条件がありますので、最初から物納を検討するのはやめた方がいいと思われます。

本件では、税務署に相談して延納制度を利用するのがいいと思われます。

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